9条がいけないのではないのです。しかしみんな世界に目を向けるとそこでは別な力が働いて貧困や格差やテロや気候変動や生物多様性の喪失になっていることに気付いていそうでそうでないのかもしれないのです。その力は何でしょうか?どこからやってくるのでしょうか?


もちろん表面的には武力やそれを行使する大国も関係がないわけではありませんが、本当は経済活動からやってきています。わかりやすく言うと開発する力です。経済発展しよう・させようとする開発の力なのです。


たとえば現代建設の元祖にして工業化の基礎であるダム開発は以前は再生可能エネルギーとされていましたが、そうではなく温暖化や生物多様性喪失に大きな影響のある施設であることが判明しました。


また途上国におけるダム開発ではそこに持続可能な漁業や農業で暮らす人々を強制的に排除し、貧困化させている事例が圧倒的に多く、しかも熱帯雨林地域では利水や洪水抑制効果はほとんどなく、サバンナやステップ気候地域では砂漠化を促進し、流域に複数の国が存在する国際河川においては上流国にダムを建設すると下流国にその影響が顕著に現れますが利害調整はできず、国際ルールもなく、泣き寝入り状態が続いています。

そして今年はダム建設をめぐってついに悪質な殺人事件がホンジュラスとインドで起こりました。ダムビルダーや警察によって反対運動をする現地の人々のリーダ-は暴力を振るってはいませんでしたが命を落としました。日本国内だと信じられないかもしれませんが想像以上にダム建設で多くの人々が殺害されているのです。

どうして人を殺してまでダムを造ろうとするのでしょうか?それはこのダム建設が現代文明の基礎的なアイテムで経済発展のための元祖のような事業であるからです。

しかし、日本国内ではせいぜい100キロ程度の川の長さで、自国内だけを流れているので、お金の力でその害を隠すことができましたが、アマゾン川やメコン川では4000キロ以上の距離と複数の国を流れ、しかもそこに広がる森林の面積から地球の肺と呼ばれるほど炭酸ガスの吸収に大きな役割を担っていることや生物多様性の宝庫と呼ばれ、地球規模の目で見て開発自体の是非を考えなければならないエリアです。ごく最近アマゾン川のダム開発が世界の120万人の人々の声と環境団体さんと原住民の人たちの努力で一応中止されました。

一方、メコン川ではいままで何とか止まっていた本流中流域でのダム建設がラオス国内で一方的に開始され、やがて多くの魚種の激減とイラワジイルカの絶滅が現実のものとなりそうです。また今年は雨が少なかったせいで下流域のベトナムやタイでメコン川の水位が通常の半分以下に下がったため、稲作に大きな影響が出て、最上流にある中国のダムがいやいや放水に応じました。この川のダム開発はいまから50年前に日本の企業が青写真を立てていたといいます。現在はこの川を中国・日本・タイ・マレーシア・韓国でダム開発を競っていますが日本の関与がもともと深いエリアなのは国内でも知られていることと思います。

ところで2009年に政権交代が起こったときそこに八ッ場ダム中止という政策が目玉になっていたのを覚えていらっしゃるでしょうか?日本国内においてもダムは公共事業改革のシンボルだったわけです。

残念ながら政権交代が起こったのに八ッ場ダムは中止できずに復活し、それと共に起こったのは土地強制収用という人権侵害でした。(もち自民党も復活していましたが)そして九州の石木ダムでも土地強制収用が続けて行われました。こうして無力化した野党をよそに戦争法案や福祉切捨てが次々と行われましたが、野党の方は八ッ場ダム中止の失敗からきていることに気付いていないみたいです。

ここで突然アメリカの話を出すと何ですが、アメリカでは2000年以前からから脱ダムが進んでいました。そしてオバマ大統領は広島で核兵器廃絶のメッセージを出しただけでなく、中国に働きかけてCOP21を共に批准することに成功しました。日本もダムや原発をセールスしないで太陽光や風力にすれば温暖化や生物多様性喪失を防ぐだけでなく地球にグリーンな経済の実現につながります。中国とダムや様々なインフラ開発を率先して競い合って高エネルギー社会と環境破壊を促進するのではなく、本当にグリーンな政策の実現を通して世界の平和に貢献していくことが日本の使命ではないでしょうか?なぜなら戦後日本は経済で立国してきたのですから・・・そしてその経済が温暖化や生物多様性喪失を引き起こし、テロや貧困の原因になっていたことはCOP21でも認識されていました。