MDG’sではいままでの経済開発活動による環境汚染や破壊の中で進行した温暖化や生物多様性喪失に対して直接対応してはいませんでした。そこで気候変動枠組み条約や生物多様性条約を(1992~)締結して温暖化対策や生物多様性喪失対策を行ってきましたが、そもそもこの問題はいままでの経済原理開発活動から来ているのですからここを見直すことの必要性から地球サミット(国連環境開発会議)が開催された経緯があります。しかし環境保護と書かないで、環境開発としたことは過ちであったと思われます。環境を開発したことで環境問題が起こったのですから・・・つまりSDG’sはもともとRio+20(持続可能な開発会議)の本題としては適切ではありませんでした。

考え方として、今までの環境汚染や破壊を継続する経済活動(開発)をブラウン経済と呼び、これを解決できる新しい経済をグリーン経済と名づけ、新しい経済原理や指標を定めることが本来の目的であったはずでした。地球は有限です。資源も有限なのにブラウン経済は有限な環境の中で人口や経済規模を有限で定義しなかっただけでなく、有害な持続可能でない開発も認知しようとしませんでした。こうすると全ての開発が持続可能という建前になってしまいブラウン経済なのに持続可能ということになってしまいます。有害な開発ほど巨額の融資が行われるので環境や人や経済に害があるはずです。

結局、Rio+20ではこの本題(グリーン経済)を話し合う予定だったのに、時間がかかるからと言う安直な理由で取り止めてしまったのです。本題なのにです。話し合うことを開催すれば、その時に決まらなくとも近い未来にグリーン経済原理や経済指標を完成させることができたはずです。しかし、あれから5年が経ちますが、話し合いを開かなかったせいでグリーン経済原理も経済指標も各国の原案止まりで何も世界の国で共有できる具体的な内容は決まっておらず、言葉だけの存在になったままになってしまいました。ですからこの取り止めは非常に罪深いものになりました。何故なら従来の経済原理や指標がそのまま見直されないままブラウンな経済活動(開発)が継続されてしまっているからです。

こうして持続可能なグリーン経済の替わりにSDG’s(持続可能な開発目標)だけが定められ、気候変動や水生生物保護が目標に組み込まれましたが、その原因である有害開発と環境保護とが同居する矛盾した開発目標になってしまいました。

この問題を最も良く現しているのは大型水力発電ダム開発ですSDG’sの目標8 decent work and economic growthと目標9 industry, innovation and infrastructure はちょうどいい仕事と経済成長、工業化、技術革新とインフラ開発のために大型水力ダム開発を世界銀行や国際金融が支援しています。(ちなみに日本の国連での89は働きがいも経済成長もと成長と技術革新の基礎をつくろうでインフラ開発を示唆する訳です)しかしいままでの大型ダム開発で明らかになっていることは、遅きに失した感はありますが、昨年50メガワット以上のダムは非再生可能エネルギーと国連が認めたことで、さらにダム湖から炭酸ガスの25倍の温暖化効果のあるメタンガスが排出されていること、(SDG’sの目標13 climate actionに反しています)1970年以来、淡水魚種の70%が絶滅しており、大型ダムの影響が指摘されていること、(SDG’sの目標14 life below waterに反しています)ダム建設で強制的に移転させられた人々の所得が向上するどころか、むしろ農地を失い、漁業ができなくなって貧困が進行し、電力の恩恵も得られないということ、(SDG’sの目標1 no poverty7affordable and clean energyに反しています)最後に上流の国に建設したダムの悪影響が下流の国に及んでいても何の補償もなく、アラル海のように砂漠化が下流に予言されていてもダム湖からの経済発展と開発恩恵を優先してダム開発を強行する姿勢は現在も全く変わりありません。(つい最近の事例としてエチオピアのギベ3ダム稼動で下流ケニアのトルカナ湖が消滅すると言われています)つまりダム開発は利害調整を害があることがわかっていても上流と下流で国が異なるとできていないのです。そして、その原因の一つは未だにSDG’sの開発目標の中に大型ダム開発を推進する目標が受け継がれ、UNEP(ケニアに本部)でさえ地元のギベ3ダム建設を止めることができませんでした。こうした開発を未来に向かって繰り返すことは持続可能ではないことが明らかです。残念なことに全世界ではまだ3700もの建設中のものを含めてダム建設計画があるといいます。しかし現在の開発に対する考え方では、「最初に開発を!2番目に(環境)保全を!」です。この考え方を保持する限りは水力ダムを先ず建設しなければなりません!たとえそれが致命的な問題を抱えていて有害でも・・・つまり遠回りの様でも従来の経済開発原理経済指標を見直すことが温暖化や生物多様性喪失や貧困や紛争に対する最も効果的な解決方法であることがわかります。アフリカでは大型ダム建設で強制移転させられた人々が漁業や農業ができなくなり食料や水を国連の援助でいまも暮らし続けている例が一つではありません。実は他のエリアでも移転させられた人々の生活実態調査がほとんど行われておらず、以前より貧困になっている人の数が増えたと言われています。わかりやすく言うと格差が拡大したと言ったほうがいいのだと思います。もちろん移転させられた人々はほとんどがダム建設を望んではいませんでした。また近年中・南米ではダム建設に反対した環境リーダーたちがダムビルダーに殺害される痛ましい事件が多発しており、インドでは警察が平和的な反対運動をしていた人を射殺する事件が起こりました。どうしてこうまでして世銀や国際金融機関はダム建設を援助するのでしょうか?ダム開発によって誰かが利益を得て、GDPを大きくして経済成長したことになって、移転させられた人もそれ以外の人も所得が上がって豊かになる建前だった?はずでした。